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The 選挙

都議選・足立区選挙区 和田愛子候補の軌跡

【和田愛子走る】

シャッターを切り始めてすぐにわかった。この人、楽しそうだ。華奢な身体で自転車を漕いで街を廻る姿は、実に軽やかで飄々としている。何より、笑顔が明るくて屈託がない。街宣カーで廻るのだって根気と体力が要るのに、なぜ彼女は自転車を選択したのか。「愛子が自分で言い出したんですよ」彼女のお父様が、そう教えてくださった。「愛子は幼稚園に入ったばかりのときから正義感が強くてね。オモチャを取り合う子ども達の中で、あの子はみんなにオモチャを分けて歩いてたよ。先生にまであげてたなあ」そんな話を聞いていると、スーパーの前に差し掛かる。彼女はさっと自転車を止めて自転車を下りた。ゆっくりと歩くお年寄りひとりひとりに駆け寄って挨拶し、チラシを手渡していく。なるほど、このフットワークの軽さを彼女は選んだのか。気が付くと彼女はまた自転車にまたがり、隣に停車したトラックの運転手に背伸びしてチラシを手渡していた。人のそばにいることを心から楽しんでいる彼女の姿には、普通に生きている普通の人達に、政治に対して前向きな希望を持たせる力があるんじゃないかと感じた。 

【子育て、ボランティアに全力を注ぐ和田愛子】

自分の子どもが2歳だった頃の記憶なんて、ろくにない。私、何やってたっけ?ただ毎日しんどくて気が狂いそうだったことだけは覚えている。よちよち歩いたかと思えばすぐにどこかに消えるのを慌てて追っかけて取っ捕まえて、無理やりバギーにくくりつけて、また泣かれて…。ごはんを食べたら、こぼすし顔中どろどろだしスプーンは投げるし、家の中は片付けても片付けてもぐちゃぐちゃ。そんな孤独な子育てを必死にしていた頃、将来自分の子どもに同じ思いをさせたくない、とおぼろげに思っていた気がする。でもどうすればいいのかなんて、考える暇もなかった。この国ではそんな女性達の声にならない声が、今日も聞き漏らされている。足立区からの都議選立候補者である和田愛子さんも、小さなお子さんを二人抱えているお母さん。子育てだけでも大変だろうに選挙に立候補するなんて凄いな、とも思うけれど、子育てが大変だからこその決断なのではないかという気がしてならない。当事者としての声を政治の場に届けたい。彼女がそう切実に思って立ち上がった背景には何があったのだろう。「銀行で働きながら、ボランティアをずっとしてたんだよ」愛子さんのお父様が誇らしげにおっしゃっていた。銀行の仕事だけでも激務だろうに、その合間を縫って東日本大震災の復興支援や、子ども食堂のボランティアを続けてきたのだそうだ。「子ども達の顔がどんどん暗くなってきた、なんて言ってねえ」そう、彼女は人の顔をちゃんと見る人なのだ。ビラを配る彼女を見ていて気付いた。彼女はひとりひとりに対して違う表情で話しかける。荷物を落としそうなお年寄りの買い物袋に手を添え、同じ中学の後輩を見つけて一緒に歌を歌い…彼女はそうやってひとりひとりという個人と向き合ってきた人で、それぞれが声にならない声を持っていると知っている人なのだ。「代表」という漢字は、代わりに表す、と書く。都民の代表たる議員とは、名もないひとりひとりの代わりに声なき声を表す、こういう人であるべきではないのか。理不尽ばかりがまかり通る今の政治に何も期待できないと感じている人は多いだろうし、それも仕方ない。でも、声を託す人を間違えなければ?案外まだ、希望はあるのかもしれない。そんなふうに感じさせる。

【和田愛子の舞台は変化し続ける】

和田愛子さんは、よく動く人である。さながら、舞台を隅々まで駆け巡るダンサーのようだ。足立区は彼女にとって、真剣勝負の舞台なのかもしれない。学生時代、愛子さんはチアリーディング部に所属していたそうだ。お父様によると、「土台の方をやってたからね。毎日アザを作って帰ってきてたよ。」運動部出身。道理で体力があるわけだ。これだけ一日中駆けずり回っても疲れた顔ひとつ見せないのには驚く。「社会人のときにはフルマラソンにも出てたんじゃないかな」彼女の明るい笑顔を支えているのは、細い身体に隠された強靭さだったのだ。ちなみに愛子さんは実に多才で、大学では軽音部でボーカルを務めたそうだ。そして彼女は在学中、とある有名劇団の研究所のオーディションに合格する。1年間研究生として修行したあと銀行員になった経緯は詳しくは聞けなかった。想像するしかないけれど、そこには大きな葛藤もあっただろう。けれども彼女が銀行員の営業職として、また、ボランティアとして、常に目の前の人と全力で向き合うことを続けたのは確かだ。子どもができたとき、彼女はママ友と子ども達を集めて、自宅で英語教室を開いたそうだ。どんな状況でも、目の前にある物事と真剣に向き合えばそこが自分の舞台になる。そして今、彼女は都政という新しい舞台に向かって真っ直ぐに進んでいる。そこでもきっとアザだらけになることもあると、彼女は知っているのだろう。それでも、彼女はきっと持ち前のバイタリティで、楽しそうに道を切り開いていく人なのではないか。彼女の歩いてきた道のりから、そんな期待をせずにはいられない。

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